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腹部エコー

腹部エコー

腹部エコー(腹部超音波検査)

超音波から発信する装置を腹部表面に当てて、内臓からの跳ね返る超音波をその装置が受け取り、電気信号にかえてモニターに内蔵の状態を写します。肝臓、胆のう、膵臓、脾臓、腎臓、膀胱を中心に、腹部臓器に異常がないかを調べられます。
きれいな画像が得られるように装置を体の表面に密着させるためのゼリーを塗って検査をしますが、空気のある「肺」「胃や小腸・大腸などの消化管」、石灰化の強い「骨」は見えにくい特性があります。また皮下脂肪の多い方や高度の脂肪肝がある場合も、きちんとした評価が難しい場合があります。きちんとした検査を受けるには、絶食で検査を受けていただくことも必要です。
超音波検査は非常に安全で痛みや苦痛の少ない検査です。CT検査に比べて被ばくの心配もありません。

腹部エコーでわかる主な病気

肝嚢胞(かんのうほう)

嚢胞とは水のたまった袋のことです。超音波検査をしていると10人に1人位の割合で見つかります。基本的には心配ありません。ごくまれに、嚢胞の中に細菌感染を起こして熱が出たり、嚢胞が大きくなって近隣の臓器(胃や腸)を圧迫することで痛みが出た場合は、針を刺して水を抜くことがありますが、ほとんどの方はそのままの状態(大きさ)です。ただし、念のため定期的に大きくなっていないかエコー検査してもらった方が安心です。

腎嚢胞(じんのうほう)

腎臓にできた嚢胞(水のたまった袋)のことです。これも肝嚢胞と同じで、大きくならないかどうか様子を見る程度で治療は必要ありません。問題となるのは、「多発性嚢胞腎」といって、非常に多くの腎嚢胞ができて腎臓不全となる場合ですが、これは遺伝的な要素が多く、最近は早期であれば、お薬で治療することも出来ます。

脂肪肝(しぼうかん)

肝細胞に脂肪が蓄積した(たまりすぎた)状態です。肝臓は腸から吸収した栄養を体が使いやすい形に変えたり、使われなかった栄養を蓄えたりする働き(強いて言うなら工場や倉庫といったところでしょうか)をしています。
運動もせず、アルコールを飲みすぎたり、栄養を取りすぎたりして、太ってしまうと使われなかった余分な栄養が脂肪に形を変えて肝臓の細胞に蓄えられてしまいます。度が過ぎると、肝細胞が変形し、血液検査で異常をきたします。またさらに進行すると繊維化をきたして「肝硬変」になったり、「肝臓がん」ができることもあります。まさに「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。
体重が一番簡単な目安となりますので、毎週、曜日を決めて体重を計ることをお勧めします。

胆石・胆嚢結石(たんせき・たんのうけっせき)

胆嚢にたまった石のことです。次のような症状が無ければ、基本的に治療を受ける必要はありません。
食後みぞおちあたりに強い痛みがある(胆石発作)、痛みだけでなく吐き気や熱を伴う(胆嚢炎)、血液検査で肝臓の数値に異常がある、黄疸(身体が黄色くなる)がある方は治療が必要な場合があります。
痛みは揚げ物などの脂っこいものを食べた後に起こることが多く、胃カタルや胃けいれんと勘違いされるときもあります。
治療は手術で胆嚢ごと石を取り出します。最近は腹腔鏡という内視鏡を使い小さな傷と短い入院期間で治療ができるようになっています。
また時々胆嚢がんがみつかることがありますので、定期的にエコー検査を受けることをお勧めします。

肝血管腫(かんけっかんしゅ)

肝臓の非常に細い血管(毛細血管)が毛糸玉のように丸く集まって出来た良性腫瘍のことです。人間ドックで約1~2%の人に見つかると言われています。症状もなく、治療の必要が無い事がほとんどです。ただし、初回に見つかった時には確認のためCTやMRI(造影剤を使用した方が確実)を撮影した方が良いでしょう。診断がつけば、以後は定期的なエコー検査で大きくならないか確認するだけで良いでしょう。
この腫瘍の特徴的なこととして血流の状態によってエコーでは見えたり、見えにくくなることがあります。だから、時々「今までは異常なしと言われたのに、今年急に血管腫を指摘された」とか「昨年は血管腫があると言われたけれど、今年は見当たらないと言われた」という方をお見受けします(カメレオン・サインとも言われています)。体の向きを変えれば見えるようになる場合もありますが、大きなもの(2cm以上)でなければ慌てなくて良いと思います。

胆嚢ポリープ(たんのうポリープ)

胆嚢のポリープは、コレステロールのかたまり(コレステロール性ポリープ)で心配のないものがほとんど(大きさ2~3mmのものは、まずコレステロール性ポリープで間違いないでしょう)ですが、まれに「胆嚢がん」が含まれているので注意が必要です。
胆嚢がんを疑う所見としては「1cm以上のもの」「形が変形している(広基性、乳頭状)もの」「胆嚢内空(袋の中)が不明瞭なもの」があります。この場合はCTやMRIでの精密検査が必要です。
良性と診断されても、胃や大腸のように内視鏡生検による組織検査が出来ませんので、定期的なエコー検査を受けるようにしてください。

腹部エコー検査の流れ

検査当日の朝食はお控えください。飲水は検査の1時間前からお控えください。乳製品はとらないようお願いいたします。
検査2時間ほど前から可能な範囲で排尿を控えてください。
皮膚に検査用のゼリーを塗り、プローブ(超音波を発する探触子)を当てて検査します。約10分程度かかります。

診療実績
2020年2021年2022年2023年2024年
胃内視鏡検査15121501147614251128
大腸内視鏡検査120210959759941002
ポリペクトミー(2cm未満)234369322473543
ポリペクトミー(2cm以上)486158
ポリペクトミー(入院)1271127882125
尿素呼気試験155252267202155
1次除菌481381166457
2次除菌122013105
胃瘻造設術302119167

担当医紹介

医師
理事長:杉安 保宣
日本内科学会認定医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本消化器病学会専門医
近畿大学医学部 1994年3月卒業
医師
医師:磯﨑 豊
総合内科専門医
認定内科医
京都府立大学医学部 2005年3月卒業